IPO 上場審査

上場の成功確率はどれくらいなのか?証券会社からヒアリングした内容を公開します

 

これから上場を目指そうと思っている経営者やIPOプロジェクトの責任者としては一体どれくらいの会社が上々に成功しているのか、その成功確率を知りたいですよね。
今回は記事執筆時点で各証券会社にヒアリングした内容をもとに成功確率について解説していきます。

 

この記事を書いている人

筆者は、派遣のアルバイト、タクシー運転手、タクシー会社の運行管理者(内勤業務)、経理、法務等の業務経験を積んだ後、経理BPOや、内部統制コンサルティングで独立し、その後IPOチャレンジ企業にCFOとして入社し、3回の延期を経て30代前半のときに、高卒CFOとしてIPOを達成した経験を持っています。
証券会社の仮審査対応、本審査対応から東証審査まですべてをプロジェクト責任者兼プレーヤーとして対応しクリアしてきた実績があります。

 

この記事の内容

  1. 上場企業になれる確率はわずか0.1%!?
  2. 上場を目指しているだけの会社はたくさんある
  3. 証券審査通過後の東証審査通過率は70~80%
  4. どうしたら本審査通過後の合格率を上げられるのか

上場企業になれる確率はわずか0.1%!?

総務省と経済産業省が31日に発表した経済センサス活動調査によると、2021年6月時点の全国の企業数は367万4000社だそうです。また東京証券取引所が公表している上場企業数の推移情報によれば2021年末の上場企業数の数は3,822社だそうです。

つまり、3822÷3,674,000≒0.01ということなんですね。

旧司法試験の合格率が1%~2%、最近の試験の中で最難関と言われている司法試験予備試験の合格率が3%~4%ということなので非常に狭き門であることがわかります。

ただし、これはすべての会社を分母としていますので実際に上場を目指している会社を分母にした場合はどうなるのでしょうか。

 

上場を目指しているだけの会社はたくさんある

証券会社の担当者にヒアリングしたところ答えは
「わからない」だそうです。

上場準備を開始するのは上場を目指す年をN年とすると、概ね3年前程度から準備を開始しこの年のことをN-3と呼んだりします。
一通り準備が整い、その翌年から証券会社のコンサルティングが開始することが多くN-2(直前前期)と呼んだりします。
このN-3やN-2を延々と繰り返している会社が圧倒的に多いそうです。
何かと理由をつけて証券会社からのタスクを実行しなかったり、証券会社に提出している事業計画が計画通り進行しなかったりという理由でその先に進まないということがほとんどだそうです。

 

証券審査通過後の東証審査通過率は70~80%

では万年N-2の会社等を除外した場合はどうなのか?
証券会社の担当者にヒアリングしたところ平均すると概ね70~80%くらいの成功確率になるようです。

証券会社によって多少の差がありますので各証券会社の担当者からヒアリングした内容を解説していきます。

N証券(赤い証券)

なんと、成功確率100%をコミットしました。さすが老舗の証券会社です。
かつては主幹事担当件数1位の時代が長く続いていました。
「うちが本審査を通したら東証の審査通過率は100%です!お約束します。」だそうです。営業担当とはいえそんなこと言っていいいのかな?とも思いましたが。

M証券(青い証券)

こちらは近年IPOの主幹事を担当する件数が増加している証券会社です。
公開引受部門の担当者によればこの証券会社での審査通過後の東証審査通過率は概ね70%~80%程度だそうです。

S証券(大手ネット証券)

こちらもM証券同様近年主幹事を担当する件数が増加しています。公開引受部門の担当者によれば数年前までは証券審査通過後の合格率が50%程度と低かったそうで、東証上場後も上場ゴールとなる会社が多く問題視されていたそうです。
そこでS証券としても審査体制を強化し、中間審査と本審査の2部審査制を導入し、その結果近年では本審査通過後の東証審査の通過率は約70%~80%程度で推移しているそうです。

 

どうしたら本審査通過後の合格率を上げられるのか

本審査通過後の東証審査の合格率(上場の成功確率)を上げるためにはどうしたら良いか?一番重要なことは、証券会社の公開引受部門に対して隠し事をせずにすべての論点を共有し、対策を練ることができているかどうかにつきます。
証券会社の公開引受部門との関係構築は一朝一夕ではできず、数か月~1年以上の時間をかけてじっくりと関係性を構築していく必要があります。
会社として論点になりそうなポイントは隠したくなるものですが、上場審査においては隠し事はご法度です。予めわかっていれば対策のとりようがありますが、隠したまま証券審査を通過して、東証審査中に論点が発見された日には目も当てられません。

証券会社の公開引受部門には隠し事は一切せずに、きちんと会社の全容を伝えた上で論点に対する対応方法・アドバイスを真摯に受け止めて対応することが上場の成功確率を高めるための唯一の方法です。上場成功に近道はありません!

 

まとめ

いかがでしたか?今回は上場の成功確率はどれくらいなのかという疑問に対して、証券会社からヒアリングした内容を解説してきました。

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