IPO 上場審査

上場準備っていくらかかるの?上場準備にかかる費用についてわかりやすく解説します

 

これから上場を目指す会社にとって上場準備にいくら費用がかかるのか気になりますよね?今回は上場準備をするにあたって、どこに対してどれくらいの費用が発生するのかを解説していきます。

この記事を書いている人

筆者は、派遣のアルバイト、タクシー運転手、タクシー会社の運行管理者(内勤業務)、経理、法務等の業務経験を積んだ後、経理BPOや、内部統制コンサルティングで独立し、その後IPOチャレンジ企業にCFOとして入社し、3回の延期を経て30代前半のときに、高卒CFOとしてIPOを達成した経験を持っています。
証券会社の仮審査対応、本審査対応から東証審査まですべてをプロジェクト責任者兼プレーヤーとして対応しクリアしてきた実績があります。

 

この記事の内容

  1. 上場準備に係る費用の総額は2億円~3億円程度、内訳も解説します。
  2. 監査法人に対する費用
  3. 証券会社に対する費用
  4. 証券代行会社に対する費用
  5. 印刷会社に対する費用
  6. 機関設計に係る費用
  7. IPOプロジェクトメンバーに係る費用
  8. 東証に支払う費用
  9. 上場後にかかる費用まとめ

上場準備に係る費用の総額は2億円~3億円程度、内訳も解説します。

今回は特に審査が延期することなく上場できた場合の費用について解説していきます。審査が延期した場合は年間費用が追加でかかってきます。

 

監査法人に対する費用

監査法人に対する主な費用は以下の3つの費用が発生します。

ショートレビュー費用 150万円~300万円程度

上場を目指す会社であれば、準備を目指し始めた段階で必ず監査法人のショートレビューを受ける必要があります。ショートレビュー費用は会社の規模によりますが150万円~300万円程度の費用が発生します。

参考記事→上場を目指す会社必見!監査法人のショートレビューでよく指摘される項目

監査報酬 年間1500万円~2000万円程度

監査報酬は毎年株主総会の翌月1日から翌年の株主総会の翌月1日までを基本の期間として監査証明を受けるための費用として支払います。会社の売上規模、プロセスの多さ、営業拠点の数、子会社の数によって異なりますが記事執筆時点では大手監査法人で年間1500万円~2000万円程度の費用が発生します。

コンフォートレターの作成費用 200万円~300万円程度

コンフォートレターとは上場申請期に作成する書類で、主幹事証券会社の依頼に基づき、有価証券届出書等に記載されたIPO準備会社の財務情報及びその後の変動について調査した結果を監査人が主幹事証券会社に報告するためにまとめた調査報告書のことをいいます。

 

証券会社に対する費用

証券会社に対する費用は大きく分けて次の2つです。

コンサルティング報酬 年間400万円~600万円程度

コンサルティング報酬は月次単位で証券会社に対して支払うIPOコンサルティングに対する報酬で会社の規模や業態、証券会社によって異なりますが概ね月額30万円程度~50万円程度(年間400万円弱~600万円程度)であることが多いです。

上場成功報酬 500万円~

上場成功報酬として500万円~を申請期に支払うことが多いです。

 

証券代行会社に対する費用 年間200万円~300万円程度

証券代行会社は株主名簿の管理や、株主総会の運営サポートを行ってくれます。

 

印刷会社に対する費用

印刷会社は新規上場時の目論見書や、株主総会の招集通知等を印刷することに加えて、その記載内容に対するコンサルティングを行っています。

印刷費用 500万円~

目論見書や株主総会の印刷費用は印刷する枚数によって異なりますが概ね500万円程度の費用が発生します。

開示書類作成システム利用料 年間100万円~

有価証券報告書や決算短信等の開示書類は、XBRLデータを含んだ形で作成する必要があり、それらのデータを作成するのに専用のシステムを利用する必要があります。

 

機関設計に係る費用 年間1,440万円~

上場を目指す会社は、社外取締役や、社外監査役を選任する必要があります。報酬相場としては月額30万円~50万円程度が一般的となっています。東証が求める最低限の社外取締役1名とし、監査役会設置会社で社外監査役を3名、それぞれ月額報酬30万円で採用できた場合は360万円×4人で合計年間1,440万円の費用が発生します。

 

IPOプロジェクトメンバーに係る費用

上場を目指すとなった場合にはプロジェクトチームの立ち上げ、経験者の採用等が必要になってきますのでそれぞれの費用について解説していきます。

IPOプロジェクト責任者 年間1,000万円~

IPOプロジェクト責任者には、経験者を採用することを強くオススメします。上場経験者ともなると少なくとも年収1000万円以上の条件を提示しないと採用することは難しいでしょう。

内部監査担当 年間500万円~

上場を目指す会社は内部監査担当を採用する必要があります。もちろん社内からコンバートすることも可能です。また総務部門等が兼務し、総務部門に対しては別の部門(経理部門等)がクロス監査するという方法も取ることが可能ですが、選任の担当者を配置するほうが望ましいです。

管理部門増員 年間1,000万円~

上場を目指す会社であれば、適時開示や決算早期化等を行う必要があり、管理部門の増員が必要となります。仮に年収500万円クラスの人を2名増員した場合は年間で1,000万円~の費用が発生します。

外部コンサルティング 年間1,200万円~

外部の上場コンサルティングを活用せずに完全に内製化することでこの費用は抑えられますが、より上場の確実性を上げるという観点では必要な投資として外部コンサルティングを活用することをオススメします。外部コンサルティングは、上場申請書類の作成支援や、東証審査のQA対応のサポート等を行っておりノウハウがあるため難しい課題に対してのノウハウも有しています。

 

東証に支払う費用

東証へは上場審査の費用と、新規上場の費用を支払う必要があります。
参考:東京証券取引所 新規上場に係る料金

料金 市場区分 金額 支払期日
上場審査料 プライム市場 400万円 上場申請日が属する月の翌月末日まで
スタンダード市場 300万円
グロース市場 200万円

 

料金 市場区分 金額 支払期日
新規上場料 プライム市場 1,500万円 上場日が属する月の翌月末日まで
スタンダード市場 800万円
グロース市場 100万円
公募または売出しに係る料金 全市場区分 (1)上場申請に係る株券等の公募

公募株式数×公募価格×万分の9

(2)上場申請に係る株券等の売出し

売出株式数×売出価格×万分の1

 

上場準備にかかる費用まとめ

支払先 内容 区分 N-3期 N-2期
(直前前期)
N-1期
(直前期)
N期
(申請期)
小計 備考
1.監査法人
ショートレビュー 必須 1,500,000 1,500,000
監査報酬 必須 15,000,000 15,000,000 20,000,000 50,000,000
コンフォートレター 必須 2,500,000 2,500,000
小計 1,500,000 15,000,000 15,000,000 22,500,000 54,000,000
2.証券会社
コンサルティング報酬 必須 4,000,000 4,000,000 4,000,000 12,000,000
成功報酬 必須 5,000,000 5,000,000
小計 0 4,000,000 4,000,000 9,000,000 17,000,000
3.証券代行
証券代行 必須 120,000 120,000 1,720,000 1,960,000
小計 0 120,000 120,000 1,720,000 1,960,000
4.印刷会社
印刷会社_上場時印刷 必須 5,000,000 5,000,000
開示システム 必須 1,000,000 1,000,000 1,000,000 3,000,000
小計 0 1,000,000 1,000,000 6,000,000 8,000,000
5.機関設計
社外取締役1 必須 3,600,000 3,600,000 3,600,000 10,800,000
常勤社外監査役1 必須 4,800,000 4,800,000 4,800,000 14,400,000
社外監査役2 必須 3,600,000 3,600,000 3,600,000 10,800,000
社外監査役3 必須 3,600,000 3,600,000 3,600,000 10,800,000
小計 0 15,600,000 15,600,000 15,600,000 46,800,000
6.IPOプロジェクトメンバー
IPO責任者 10,000,000 10,000,000 10,000,000 30,000,000
内部監査担当 必須 5,000,000 5,000,000 5,000,000 15,000,000
管理部門増員 必須 10,000,000 10,000,000 20,000,000 主に財務経理部門の増員等
外部コンサルティング 任意 12,000,000 12,000,000
小計 0 15,000,000 25,000,000 37,000,000 77,000,000
東証関係費用
上場審査料 必須 2,000,000 2,000,000 グロース市場を想定
新規上場料 必須 1,000,000 1,000,000 グロース市場を想定
小計 0 0 0 3,000,000 3,000,000
合計 1,500,000 50,720,000 60,720,000 94,820,000 207,760,000

 

まとめ

今回は上場準備をするにあたって、どこに対してどれくらいの費用が発生するのかを解説しました。
こちらの記事もオススメですのでぜひお読みください。

上場の成功確率はどれくらいなのか?証券会社からヒアリングした内容を公開します 

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