この記事を書いている人
筆者の経歴を簡単に書きますと、高校卒業後、派遣のアルバイトから未経験で会社設立や、国土交通省の運送事業許認可の取得や運営等に携わり、未経験で経理業務等に従事、独立し、会社をバイアウトし、IPOチャレンジ企業にジョインし、IPOを達成しています。
その中で、ざっくり800人を超える従業員との面談等を行ってきて、人はどのようにしたら動くのか、人はどのようにしたらサボるのか、自分で勝手に仕事を作り出されると組織がどうなってしまうのか等を経験してきたことに基づいた「考え方」の指標として書きます。
仕事を作り出すことと、成果を出すことは別のこと
辞書で「仕事」を引いてみると
このような意味があるようです。
1 何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。「やりかけの―」「―が手につかない」
2 生計を立てる手段として従事する事柄。職業。「将来性のある―を探す」「金融関係の―に就く」「週の半分は自宅で―する」
3 したこと。行動の結果。業績。「いい―を残す」
これを見ると、「自分の仕事は自分で作り出せ」というのは
一見正しいことを言っているように聞こえますが、私は上司の責任の放棄だと考えています。
会社は利益を出すための団体である
そもそも会社というのは利益を出すために存在する団体です。
仕事に含まれる、「何か成し遂げるための行動」や「生計を立てる手段として従事する事柄」、「業績」という意味は会社の行うべきこととと直結しています。
自分で仕事を作り出すのは経営者の仕事
経営者は、会社の利益を出すために、仕事を作り出します。
経営者はビジョンを掲げ、方向性を示し、自分がいなくても会社が回り続ける環境を作り出すことが主なミッションであると考えます。
具体的には次のようなことです
- 事業の仕組み化
- 後任の育成
- 新しい事業を考える(収益の柱を増やす)
- 既存の事業を拡大する方法を考える(収益の柱を太くする)
- 既存の事業を拡大せずとも利益率を向上させる方法を考える(限界利益を上げる)
なお、経営者は自分の仕事の一部を幹部従業員に委任することができます。
例えば
1000万円の範囲で仕入販売を行う権限
500万円の範囲で広告宣伝を行う権限
等です
成果を出すのは従業員の仕事
一方で、従業員は経営者が作り出した仕事の中で、
最大限の成果を出すことを求められます。
具体的には次のようなことです。
- 期日までに定められた利益を出す
- 期日までに定められた財務諸表を作成する
- 期日までに従業員の社会保険手続を完了させる
ここで重要なことは、成果には必ず
1.期日と
2.定量的に測定できるあるべき状態
という2つの要素が必要となります。
仕事が得意な従業員と作業が得意な従業員がいる
従業員は2種類いて、経営者や上司から委任された権限を
正しく使って、仕事を作り出すことができる人と、
権限を正しく使えず(あるいは不正に行使し)仕事を作り出すのは得意ではないが、
決められたルールの中で作業をして成果を出すのは得意な人がいます。
仕事が得意でない従業員が自分で仕事を作り出すとどうなるか?
実際に僕が経験した事例を1つ紹介します。
僕が以前いた会社では、経営企画室というところで、
15社くらいある子会社の予算及び実績数値を取りまとめるということを行っていました。
簡単なことを複雑にする人が現れる
その担当者が作り出した予実管理のフォーマットでは、
なんと1つの事業部あたり、入力するブックがセクションの数だけあり、
それぞれのブックに入力シートが5枚もあり、
それぞれの入力シートには1000行を超える行がありました。
さすがに子会社社長からクレームがあがり、別の担当者に同じアウトプット資料を作らせた結果、
ブックは1つに、
入力シートは2枚(前提条件入力シートとPLシート)
行数は250行程度におさまったのです。
仕事のブラックボックス化が始まる
更に、先程の予実管理フォーマットには問題が潜んでいまして、
複数のExcelブックを連動させるために、マクロが含まれており、
とても作成者以外で保守できる代物ではなかったのです。
ただ、その担当者は誰も運用することのできない
巨大Excelファイルを作って仕事をした気になってしまっているのです。
本来の目的が何かを忘れてはいけない
この予実管理フォーマットの目的は、
経営者及び幹部従業員が、
予算を簡便的に作成することができ、実績と比較することが容易にできること
というのが得たい体験でしたが、全くもってそれを実現できるものではありませんでした。
フォーマットを作ることが目的となってしまっており本来の目的が失われてしまっていたのです。
上司が仕事任せることは良いが結果は上司の責任
失敗談を書きましたが、このときこの担当者をアサインしたのは
なんと筆者でした。
さすがに、これは任命責任を激しく痛感し、誰にどのような
仕事をアサインするかを考えるときの1つの大きな経験となりました。
たまにいるのですが、会議等でプロジェクトの進捗を責任者に確認すると、
オブザーバーで出席している部下にそのまま質問を丸投げで
「おい、あの件どうなっている?」
「まだ進んでいません。」
「はぁ?ふざけんなよ。責任持って間に合わせろよ。」
というようなことを会議の場でやり始める管理職の方がいますが、
これはもう管理職失格ですね。
まず、会議に出席する時点でプロジェクトの進捗を把握できていない=仕事の管理ができていない。
さらにプロジェクトの進捗が悪いことを、部下のせいにし、
自分が進捗管理していないことを棚に上げています。
このように責任が取れないのであれば管理職は直ちにやめて頂きましょう。
まとめ
上司は、与えられた権限の中でどうやったら成果が出るかを考えよう
上司は、部下が成果を出せるために環境整備や、やり方を指導する、進捗を確認する等の仕事をしましょう。
経営をしていると、中には経営層の意向で現場を無視した、
とうてい実現ができないタスクが発生することがあります。
こういう事態が発生した場合に、経営層に対して正しくフィードバックをするのもまた上司の仕事です。
従業員は成果を出すことに全力を注ごう
従業員は、基本的には上司が課したミッションに対して、全力で成果を達成するために行動しましょう。
もしそれが明らかに達成の可能性が低いようなタスクであれば、それがわかった時点で上司に相談するべきです。
それでも進めろとなった場合は、それに対して責任を取るのは上司の仕事であり、あなたの仕事ではありません。